エンディングフェイズ
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エンディングフェイズ
神薙 昴の場合
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GM:君の元にはいつも通りの平和な時間が戻ってきた。テスト前でぴりぴりしてるのは、変わらないですが。
昴:「結局、何事もなく…と。……勉強するのだるいな。要はテストとか大丈夫なのか?」
GM:隣の都筑要は、英語の授業だけは寝てます。
昴:「良いねぇ、得意な奴は…」
GM:ほかの授業は比較的、まじめに受けてますが、英語だけは寝るみたいですね。
チョークスマッシュが飛んできたりとかしますけど、あっさりよけて見せたりと、ちょっと感覚が人と違うみたいですが。
昴:「で、要…事件終わったんだろ?隣町に帰るのか?」
休み時間に昴はこそっと聞いてみた。
隣に座る転校生がまた転校するのに少し寂しさを覚えたのだろうか。
だがそれはあっさり否定された。さも当たり前のように要は答えたのだ。
「いや…面倒だから帰らないよ」
「面倒って…」
拍子抜けしたような安心したような、複雑な表情で昴は要を見る。
「道場には、ここからでも行けるしな」
要はあの後、自分の身の上を簡単に教えてくれた。
アメリカで育ったこと、合気道の道場主に拾われたこと。
そして、人付き合いがあまり上手くなく、外見に似合わず照れ屋なこと。
「はは、変な奴だな。ま、これからもよろしくな。具体的には英語とか」
昴はどうもあの難解な言語が苦手らしい。
「別にいいけどな。日本人って、英語の発音に向いてないんだぞ」
知ってたか? と簡単なトリビアを教えてくれた。日本語の発音では微妙な発音の差を出すことは難しいということらしい。
「お偉いさんに言ってくれよ、それでもやらなきゃならん、学生だもんな」
うんざりした表情で首をコキコキ鳴らす。
「覚えて損はないさ。海外行ったりして、変な事言いたくなかろ?」
「海外に行く機会なんていつ来るのやら…。っと、授業始まるな。テスト前だもんな、真面目にやっとかないと…」
がさごそと机の上に教科書を取り出して、授業を受ける準備をする。
「…違いない」
肩をすくめて要も同じように準備を始めた。
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エンディングフェイズ
相良 仁の場合
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GM:平穏な日が戻ります。やっぱり試験前でちょっとぴりぴりしてますが。
仁:古文以外は大丈夫です。<学業
GM:秋月由奈は、妹を亡くして、この町に戻ってきたことになってます。
隣の席に座った由奈は、休み時間になると女の子やら、男の子に囲まれて身動き取れなくなってますね。
仁:それを遠くから見ています。
GM:というか、隣ですのでかなり影響出てます。
仁:いつもの通り仏頂面で…
GM:人垣に追いやられたり。
仁:(もちろん非難してますよ。屋上に)
GM:では、屋上で寝てると、不意に影が落ちます。
以前にもこんな光景があったな、と頭の橋で思いながら、仁は無愛想に口を開いた。
「邪魔だ…」
影の主は秋月由奈。
あの事件でのことをすべて忘れた彼女の生活を守るため、あえて仁は冷たくあたることにしていた。
由奈はその仁の物言いに少しむっとした口調で返す。
「…屋上はみんなのものですよ。人垣から逃げてきてはいけないんですか?」
「そうかい……それはあんたの勝手だ」
起き上がって、教室に戻ろうとする仁の背中に向かって由奈が優しい声で声をかけた。
「ありがとう」
その声に明らかに動揺して足を止める。
「……」
「……なんとなく、言っておかないといけないような気がしたの。ありがとう、って」
動揺した自分を叱咤して勤めて平静を装い、仁は無愛想に突き放すように言った。
「…言っていることがわからないが」
そしてまた歩みを進める。仁ととすれ違うように、屋上に上がってきた女子生徒が、由奈に話しかけるのが背中越しに聞こえた。
「由奈ちゃん、相良君と何話してたの?」
「ううん、べつに。お礼言っただけ」
「えー相良君って怖いじゃない」
「そうでも…ないと思うけど……」
背中越しに聞こえる2人の会話。
(これで、いいんだ)
「幸せにな、秋月」
小さく口だけでつぶやいて、仁は屋上を立ち去った。
なかったことになった彼女の記憶。それが甦らないことを祈るばかりだ。
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エンディングフェイズ
篠原小槙の場合
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GM:電話がかかってきます。携帯に。
小槙:てってけてれてれ、てってん♪(ぱふ)
GM:笑点の曲が鳴り響きますね。(もう慣れた)
小槙:「もしもし〜……篠倉ですけど?」
GM/霧谷:「霧谷です。任務の解決、ご苦労様でした」
小槙:「あたしは何もやってへんですよ。相良くんとか、神薙くんのおかげやし」
電話の向こうでは、相変わらず眠そうというか気怠けといった表情でいたり。
GM/霧谷:「そういう仲間にめぐり合え、協力できたのはあなたの手腕のおかげでしょう」
小槙:「……そういうもんなんやろか。せやけど、ちょこっと失敗もしてしもうたしなあ」
ぽりぽりと頭をかきながら小槙は以前からお願いしようと思っていたことを口に出す。
「ほんで霧谷さん、お願いがあるんですけど……」
だが霧谷はそれをお見通し、といった感で言葉を遮った。
「あの『白衣の男』のことですね。ちがいますか?
居心地が悪くなったように小槙は体を縮めた。
「結局、逃がしてしもうたし。その事で、支部長に絞られるんやないかなーと思ったら、憂鬱で、憂鬱で」
それをやんわりと霧谷は受け止めて続けた。
「あの男はUGNの情報網をもってしてもでもつかめないのです。
「……なんや。UGNでも掴めてへんのかぁ」
安心した様子でため息をつく。
ここ数日の陰鬱な気分は一瞬にして晴れ渡った。
「ほな、怒られる心配も無くなったわ。急に肩の荷が降りた感じや」
苦笑するような霧谷の声が電話越しに聞こえる。
「ええ。ですから、咎める事はできませんよ。それに今回の働きには目を見張るものがありましたし。それに…」
「それに……何やのん?」
興味をそそられて先を促す。
「イレギュラーオーヴァードであった、吼え猛る狼(ハウリングウルフ)の情報も手に入りましたからね。彼はどんな組織にも関わろうとしなかったので、情報が少なかったのです」
だから助かったのだ、と霧谷は言っているのだ。
取り逃がしたのと考えると5分なのだろう。
「都筑くんはええ人やわ。お仲間になれて幸いや。……ほんなら霧谷さん、今日はこのへんでー」
「ええ。また、よろしくお願いします」
そして電話は終わる。任務が終わってうきうき気分の小槙だがしかし翌日、任務のおかげでテスト勉強をすっかり忘れて大慌てするのは別の話……
「わすれてたーーーー!!!」
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Double+Cross AXセッション
『赫という色彩』
エンド
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