DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION リプレイ

DXシナリオ 季節外れの五月


2004/03/26
ゲームマスター:だいち@GR469
プレイヤー:安藤@GR258/Haruya@GR875/√+−@ GR421(敬称略)


エンディングフェイズ
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エンディングフェイズ  風見 慧の場合
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GM えー、無事UGNのほうの手続きが済みまして、辰巳は引き渡されました。今は事務所。目の前にはにっこりと青筋立てた白鷺さんが立ってます。
風見 「これにて、ひとまず任務完了……と。何かな、白鷺さん。そんなに嬉しそうな顔して」冷や汗を浮かべて満面の笑みで答えましょう。
GM/白鷺 「任務完了、じゃ無いですよ…なんですか、この支払い明細のマイナスは…」


「いや……ちょっと、ね。約一名、思い切りよく暴走してくれちゃって……」
 慧が目を泳がせる。
 支払い明細を片手に慧に詰め寄る白鷺の目は笑っていなかった。
「…それでも一応プラスとは言え、これ事務所の諸経費で消えちゃいますが?」
 言葉の中に怒気すら感じる。
 いや、むしろ殺気。
「……困ったね?」
 あまり困ったようには見えない。
「…私のお給料、どうされるおつもりですかッ!!!」
 ドンッと机を叩くと、先ほど煎れられた湯飲みが宙を泳ぐ。
「………………えーと……」
 さすがに雰囲気に呑まれ、慧が言葉を濁した。
 不意に白鷺は身を引いた。
「…まぁいつものこと、と見逃すのもこれで何度目なんでしょうねぇ」
 ため息混じりに明細書に目を向ける。
「……あー、その……すまん。次回は色を大幅に付けるから、勘弁してくれるとありがたいな……」
 その言葉にくるりと表情を変える。
「じゃ、今度買い物に付き合ってもらいましょう! それでチャラにしてもいいです」
「そ、そうか? なら、それで……」
 女というものはこれほどまでにくるくる変わるものか。あまりの変わりように一瞬驚きながら、嵐は過ぎ去ったとばれない様にこっそりと息を深く吐き出した。
 業務に戻りながら、白鷺は付け加えるように、
「当然。お昼は風見さんのおごりです」
 そう言って、業務に戻った。
「ああ、好きにしてくれて、構わないよ……」
 多少引きつりつつ、笑顔で返す。何を要求されるか、想像するだけで少し怖いが。
 ただわかったのはそんな平凡な毎日がまた始まるということ。

「さて、メールは…………と」
 パソコンを起動させ、メールチェックを行う。辰巳からメールが入っていた。
「……おや……」
 開くとただ一言。
『世話になった、ありがとう』
 短い一言の中にいろいろ篭っているのが感じ取れ、諸々な感情を込めて、笑みをうかべる。
「でも……護衛はもう勘弁だ、な」
 口の中で呟き、メールで届いた情報の取捨選択をはじめる。



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エンディングフェイズ 結城奈緒美の場合
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GM 例の騒動もひと段落つき、UGNの受け入れ態勢も整ったので、さつきは引き取られることになりました。これからはUGチルドレンとして再教育される予定です。
奈緒美 ふむふむ、特に感想は無いですよ。奈緒美は。


 ただ、さつきは奈緒美から離れたがらなかった。
「一緒にいたいの?」
 余り自我が無い、と辰巳にいわれるように、普段はまったく何にも興味は持たないのだが、妙に奈緒美にはなついている様子だった。
「ひとり、さみしい」
 ポツリ、とつぶやく。
 なんとなく似てるからだろう。さみしいと感じるだけ、奈緒美よりマシなのだろうが。
 ただ、その言葉は、自分に対してなのか、奈緒美に対してなのか微妙なニュアンスでもある。
「…」
 何も言う事思いつかず、たださつきを見るだけだったが、さつきの横にいた辰巳が、奈緒美に向かって言った。
「たまに会いに来てやってくれませんか?どうやら貴方のことが気に入ったようですし」
「…命令ならそうするわ」
 無表情にそう答える。
「命令、というよりはあなたの意思に従ってください」
「…必要があれば行くわ。必要が無ければいかない」
「…そうですか。無理強いはよくないですね」
 その答えに悲しげな表情で迎えの車にさつきを促し、自分も車に向かった。
 窓からはさつきが顔を出して、奈緒美を見、
「…ありがとう」
 と一言短くつぶやいた。
「…サヨナラ」
 UGNの車は静かに発車をし、それを確認するとすぐに振り向いて奈緒美は支部に戻るため歩みだした。もう関心は無いという様な姿で。



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エンディングフェイズ 遠野やよいの場合
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GM えー、遠野さんはいま、UGN支部のとある部屋で霧谷さんの前に立ってます。
やよい はい、水がなみなみと入ったバケツを両手に持たされて。
GM いや、そこまでは無いんですがw
やよい どちらにせよ、ガクガクしながら立ってますよ(笑)


 ニコニコと笑って座っている霧谷は、やよいが過去見てきた霧谷の中で一番怖いと感じた。
「…………………………」
 がたがた震えながら、やよいは霧谷の言葉を待った。
「まぁ、先日のことについては不可抗力ということで、別に責めはしません」
「えっ………」
 明るく表情が変わる。だが次の言葉で再びドン底に引き落とされた。
「職員に若干の負傷者が出た程度ですから」
「あぅ………」
 引き上げて落とされた気分である。
「それに無事、メイ嬢の護衛権相談役もこなしていただいたようですし。ただ…」
「た、ただ…………?」
 次の言葉をドキドキしながら待つ。
「ビルの再建費がかさむので、遠野さんのお給料減らしておきました」
「……え゛……………ぐ、具体的…には………?」
 にこやかに言われ、一瞬時間が止まる。
「半、分」
 ニコニコと笑みを絶やさず、霧谷はやよいを見ていた。
「……えっと…生活費がこれだけかかってあれだから……………」
 かちかちかしゃーんと瞬時に頭の中で計算し、さらに落ち込む。
「………た、たこ焼きが…ソフトクリームがあぁぁぁぁ………」
「それから、なでなでは無しです」
 最後通帳であった。
「あうぅぅぅぅぅぅぅ………」
 さすがにがくりと膝を突いてえぐえぐと泣きたい気分である。
「まぁ次回の活躍に期待します。ああそれから、メイ嬢の警護についていただいた分のボーナス は出しておきますね」
 ボーナスが出るとは言え、楽しみにしていた『なでなで』が無いのはさすがに堪える訳で。
「は、はい……うぅぅ…失礼します……」
 と、ふらふら退出する。


後日。
 入金を確認すると、ずいぶんボーナスが出ていた。
 それこそ、半額になった給料をカバーするように。



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