DOUBLE+CROSS THE 2nd EDITION リプレイ

AXシナリオ 支部長を探せ!


2004/07/25
ゲームマスター:だいち@GR469
プレイヤー:chatchit@GR592/RED@GR374/ハーミット@GR451(敬称略)



エンディングフェイズ
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エンディングフェイズ
■やっぱり最後はこうでなくっちゃね 物部 景 登場:まあいいか。可能
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GM:さて。そういうわけで。酒盛り、だっけね。
:「おかみさーん、ここにビールおかわりー♪」そう戦闘で本気を出せなかった憂さを晴らすために女子大生5人と酒盛りですw


「はいはいはーい」
 宿屋の女将がビールをテーブルに運んでくる。
 景はすでに請求書は支部長に送ると宣言しており、気兼ねなく遠慮なくお酒を飲みまくりの食いまくりだ。
「うーん、問題ごとが片付いたあとの料理は旨いなぁ…」
 刺身の船盛りに手を伸ばす。
 女子大生E。彼女は体格が小柄なため、ビール瓶を抱えるように持っていた。
「ほらほら〜景さん飲まないんでスか〜? ほらっ。まだコップは空いてまスよ」
 そういって注ぐ。
「ありがとう。ほら君も」
 と逆に注ぎ返す。その横でうんざりした顔の女子大生Bと、少し引っ込み思案の女子大生Cが顔を見合わせた。
「…あの子に付き合えるなんて相当よね」
「…本当…」
「君もなかなか飲める口だねぇ」
 こうなれば、ただの酔っ払いの発言だ。
「ふふ、K大のウワバミとはわたしのことでス〜♪」
 実際、彼女はチャンポンにしても顔色ひとつ変えやしなかった。
 酔いつぶす目的もあったのだが、完全にそういう意味で景は負けている。
 
 計画変更、単なる酒盛り。

「おや、君達はお酒弱いの? おかみさーん烏龍茶4つお願ーい」
 ほかの4人があまり飲まないので、気を利かせて烏龍茶を注文した。

「はいはーい」
 聞き覚えのある声が真後ろでする。女将の声ではない。
「?」
 少し嫌な予感がしたまま、後ろを振り向く景。
 お盆の上に4つ、烏龍茶をのせて、それを持つ人物は…
 ああ、景が今一番恐れる…
「(ビキッ!)」
 笑顔のまま顔が硬直する。いや、意思とは関係なくしてしまう!


 そして時が止まる。


「…たのしそうね?」
 その一言が発せられたと同時に


……時は再び動き出した。


 目だけが笑っていない少女が立っていた。実妹の結花である。
「ど、どどどどど、どうして結花さんがここにいるのかな!」
 顔面神経痛にでもなったのか顔は『むっちゃ良い』(そして同時に不自然な)笑顔のまま凍り付いている。
「…霧谷さんが、バカンスにどうですかって、チケット送ってくれたんだけどね…。奇遇ね、兄さん?」
 何か奥で含んでいる。
「き、奇遇だよな。お、俺明日帰るから、うん帰らないと仕事残ってるし、な? 残念だなぁ結花とはまた当分会えないなぁ…」
 顎がカクカクしていた。その音は本人が一番わかっている。
 タイミングが悪いことに女子大生Aが、うれしそうな声を上げた。
「ああ、その人が家出した妹さん? みつかったんだ、よかったねー」
(ぎゃー!!! 薮蛇ー!)
 つついたのは本人であって、今回誰も悪くはない。


:「じゃ、に、兄さん用事思い出したからお先失礼するわ」凍りついた笑顔のまま、しゅたっと片手を上げる
GM:がっつり、肩を握って。
GM/結花:「…まあ、ゆっくりお茶でも飲みましょうよ。『久しぶり』の再会だし?」
:「お兄さん疲れてるんだよ、見逃してくんないかなぁ?駄目?」可愛くぶりっ子w
GM/結花:「許さないわ☆」ずるずるずるずる
:「(ぷるぷる…)」まるで捨てられた、チワワのように震えながら退場しますw
GM:じゃ、最後に一言言ってエンドにしましょう
:「神様、俺は努力の結果の報酬を受け取れないなんてなにか悪いことしたんでしょうか? いやマジで(涙)」


 その夜、布団で簀巻きにされた景が、窓からつるされて放置された事は、天凪終のレポートで報告された。


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エンディングフェイズ
■やっぱり許せませんでした 工藤 真夜  登場:まあいいか。可能
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GM:で、バカンスを楽しむために、君は今どうしてるかな?
真夜:のんびり海辺を散策してましょうかね。こんどはなぜか『ピ○ミン』のCMソングをハミングしつつ(笑)
GM:ぴ、ピク○ンでつか
真夜:選曲に深い意味はないので(笑)
GM:まあいいや。歌いながら海辺を歩いてると、君の目の前に見覚えのいる人物が立っている。
真夜:あぁ、さっきぶっ飛ばした方で?



 あの従者の青年である。
「あら?まだいらっしゃったんですか? 本体はクール便(冷凍)で送り返されたと思ったんですけど」
 絶対零度の発言である。だが、それを意に介さず青年は飄々と答えた。
「中身は本州に戻ってる『はず』だよ。ま、今回は色々お礼を言うためにこうやって従者だけ飛ばしたんだけど…嫌われたな」
 ばつが悪そうに、髪を書き上げる。
 ふふっと、真夜が笑ってくるりと向き直って、青年と向き合う。
「別に嫌ってるわけではありませんよ? ただ、秘書の方が逃げ出さないか心配なだけで」
「…まあ、今回は悪いかなーと思ったんだけどね。いつもなら従者置いていくところを慌ててきちゃったし……相手が、相手だったからね」
 少し寂し気に肩をすくめた。
「…そうですか」
 今回、敵対したFHエージェントは元UGNエージェントだったと聞く。
 妹のDNAデータを取り戻すためだけにFHに魂を売ったのだ。
「いくらなんでも、昔とはいえ自分の部下が相手じゃね。…ほかの誰にだって、任せたくはないだろう? 心情ってやつだ」
 どうだね? そういうように真夜を見つめる。
 だが、真夜は目を伏せて首を横に振った。
「そんなものでしょうか。私には…よく、わかりません。私には…そこまで思える人は…いませんから」
 UGチルドレンである彼女には、その『心情』がいまいち理解できないらしい。
 親の愛情などに飢えたチルドレンたちはどこか心の一部を忘れてきてしまったかのように、そういう『情』という感情に疎い。
「…ま、例えば…君が何らかの理由でFHのエージェントになったり、ジャームになったら…この支部長じきじきに手を下してあげる、ってこと。これでも、部下思いなのだよ? 僕は」
 意外だったかな? と真夜の顔を覗き込む。
 真夜は軽く目を見張って驚いた。ちゃらんぽらんに見えて、やはり彼は支部長なのだ。
 責任を持って部下の面倒を見ているのだ。
「……ありがとうございます。そのときは、よろしくお願いしますね」
 心からの笑顔を向ける。
「怒った顔よりそっちのほうがいいね」
 にっこりと従者が笑う。ふと、思い出したように、ぽむっと両手を打ちつけた。
「…ああ」
「なんですか?」
 ついっと、従者が指で指し示す。そこは…
「…もう少し、胸は大きいほうが僕は好みだ」


真夜:「………」(瞬時に笑顔ではんにゃ化)
GM/青年:「あはは」どろりと崩れ落ちる
真夜:「………やはり、あの世に送っておくべきでしたね」地の底をはいずるような声で。


 後日、目が光っていた、とそれを目撃した地元の少年の証言がある。


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エンディングフェイズ
■暗部の先輩 天凪 終 登場:まあいいか。可能
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GM:おまたせした。
:ういうい
GM:さて、君はどこにいるかな。
:さて、何所にいましょうか?
GM:任せるよ。本州に帰るなり、バカンスを楽しむなり。
:ほむ、では最後くらいシリアスに行こう。例の病院跡だっけか? あそこの調査でもしてようか何も無いだろうけど
GM:ふむ。では一人病院跡にくると、霧谷そっくりの人物が座り込んでいる。


「おや、OZか? お前帰ったのではなかったのか?」
 声をかけながら歩み寄る。当然ながら、無意識に周囲は警戒していた。
「帰ったのは、従者だよ。まあ、精神がリンクしてるから、本人が帰ろうとも変わりはないがね」
 霧谷の姿をしたものは答えず、答えは意外なところから帰ってきた。
「……」
 思わず身構える。それが自分に危害を及ぼす存在でないことを知っていてもだ。
 なぜなら、彼は『彼』以外を信用していないから。
 声は真上。木の枝が張ってるところからだった。
「ふむ…」
 声のした枝の方を見上げて、その声の主を肉眼で確認する。
 そうして終が確認したその人物こそ、久路洲市支部長、御剣明日…コードネーム”OZ”その人だった。
「さよか。で、私に何か用か?」
 急に興味を失ってふいっと目を逸らす。
「用があるのは…」
 そう言って木から飛び降り、
「こっちのほうだ」
 霧谷の姿をした従者のほうに歩み寄る。
「ふむ…」
 OZの行動をじっと見る。
 OZは従者の頭にズボット手を突っ込むと血にまみれた何かを抜き出した。
 四角い板状の物。
「それは?」
「ディスクだよ。例の」
 思い当たりながら問う終に、律儀に答えるOZ。
 ずぶずぶとその足元に崩れ落ちる霧谷の姿をした従者。
「ああ、アレか……たしか中身は古代種のDNAデータだったか?」
 興味なさそうに視線を向ける。もっとも、それは外見だけで、その実かなり興味はそそられていたのだが。
「ああ。まあ、もっとも、古代種としてのDNAがあるかはわからないけどね…君なら、どうする? UGN暗部としての君の意見を聞いてみたい…」
 少しいたずらっ子のような表情を見せて、終を見やりながら、ひらひらとディスクに付いた血を飛ばす。
「ふむ、そうだな……まあ、今回は面白いモノを見せてもらったし………これでよかろう」
 カマイタチを起こしてディスクを破壊する。
 手を傷つけることなく真っ二つになったディスクを見て、納得したようにOZはつぶやいた。
「ふむ…やはり子供の反応だな。”終の風”…それとも? 『今日は』最果ての闇のほうかな?」
「まあ、たまにはな…珍しく人が足掻く様を見せてもらったんだ……これくらいの報酬を払ってやっても良かろう? それから、ツイは今寝てるぞ」
『足掻く様』安達俊介を指していっているらしかった。
 UGNエージェントでありながら、妹のデータを盾に取られFHエージェントに魂を売った者。哀れな男。
「そうか。まあ、2人に安穏の刻を…」
「それに一つ勘違いしているようだが……私は別に今の地位に執着があるわけではない。面白ければそれで良いのさ」
 そういって肩をすくめる。
 OZは『暗部の君としての意見』と言ったはずだった。『暗部』としてならば、このディスクは持ち帰り、UGNの研究にまわすのが正しい行動だっただろう。



:「さて、これで用件は終わりかね? 私は戻るぞ。まあ、あのディスクが偽物でも私にとってはどうでも良いことだが…」といって立ち去ろう
GM/OZ:「そうだろうな。だが。子供だ…反応があらかさま過ぎる。暗部の先輩から言わせてもらえば…もう少し精神(ココロ)を鍛えたほうがいいだろうよ…君が壊したディスクは、正真正銘、本物だ。安心しなさい」
:「まあ、そうだな。覚えておこう。だが、稼動年齢8年の私にそれを言うかね?(苦笑)」
GM/OZ:「時には二枚舌、はったりは聞かせられるようにしておけ、といっているのだよ。精神など、成長させるのはいともたやすいさ」
:「ふむ、あいにくと口下手なものでね……まあ、適当にやるさ」
GM/OZ:「強くなれ、『自分』を守りたいならな」そういうと、《騒がしき行列》でその場を後にする。
:「ご忠告痛み入る。それでは先輩、また何処かので」と、縮地で退場


 立ち去った後、そこには二つに斬られたディスクと小さな墓石が残った。
 森は静かにかの兄妹を悼む。


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Interlude
■これははじまりにして終わり。
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 暗闇の中、一人の男性が背後に立った人物に視線を向けず、まるでそこにいるのが当たり前かのような口調で語りかけた。
「で、どうでした? 南の島は」
「悪くはなかったね。まあ、あんなことは2度とごめんだけど」
 答えたのは少年…の姿をした人物。
「まあ、もともとは貴男の部下でしたし、アフターケアまでさせて差し上げたのですから、満足でしょう? 本来なら、別のエージェントを派遣して内密に処理をするつもりだったのですから
…ねえ? 御剣…いや明日」
 慇懃無礼に話す少年に対し、不快感を見せることなく、男性は少年に背を向けたままだ。
 男性のいる地位からするとなんとも無防備。いや、それだけ信用に足る人物、という訳なのか
「それはあれかい? 雄吾。同期のよしみ、って奴かな?」
「どうとでも?」
 男性が肩をすくめた。
「しかし、残念だよ。貴男が私のそばにいないのは。是非とも手伝ってほしかったのだが」
「俺はUGNの上の話なんてどうでもいいんだ。自分のいるところが守れればそれでいいのだからね…それから雄吾。『猫』が動き出そうとしている」
 その言葉に男性が目を見張った。
「『猫』…が?」
「今度はなにをするのやら…まあ、それ以外のことは皆無だから、まずは木の葉を集めないとな…また何かあったらよろしく」
 肩をすくめて少年は闇に溶けた。
「…『猫』が…世界を揺るがす何かが、起こる凶兆というわけですか…」
 男性もまた、闇に溶けて消えていった。

 残ったのはただ闇のみ。


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Double+Cross AXセッション
『支部長を探せ』 エンド
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